子育て中に思うこと【うちの子は何か違うかも…】
「話す」と「話さない」、「話せる」と「話せない」
子育てにおいて、子どもの成長一つ一つが家族にとってとても楽しみですね。
小さな手のひらで初めて指を握りかえした、首が座った、歯が生えた、離乳食を食べ始めた、「マンマ」と言った…など小さなことでも成長が感じられます。
子育てを卒業されたかたには、懐かしくて思い出すだけで感動が蘇りますね!
そんな成長の上昇曲線を描いているまっただ中で、ある時ふと「成長してるのかな?」と急に不安になることがあります。その一つが「お話しすること」。
幼児期では「そろそろ発語があってもいいはずだけど」、「なんだか言葉が少ない気がする」と思ってしまいがち。
また、小学生や中学生になると「どうして周りの子たちと話をしないのかな」など考えてしまいます。
話すことは経験上「話す」「話せない」「話せる」「話さない」の4つに分類できると思っています。
生まれてきた赤ちゃんは話せませんので「話せない」状態。次第に語彙を獲得し、いつしか「話せる」ようになっていきます。
そして、「話す」ことができれば他者とのコミュケーションを容易に取ることができるため、生きていく中では非常に使い勝手の良いスキルになります。
ところが、「話す」ことすべてが便利なわけではなく、「話さない」ことに便利さを感じている子どもいるようです。
子育てをしていると「うちの子って???」と思ったことはありませんか。
このまま大きくなったらどうなってしまうのだろうと不安になりますが、反対に長所になることもあるかもしれません!
ほかの子と比べるより、only oneのうちの子の成長と個性を楽しみましょう!
子ども1人1人に個性があり、コミュニケーションのとりかたも、考えかたも違うのでそれはそれでOKと思えるようになりたいですね。
療育の力で「話せない」が「話せる」に!
もうすぐ1歳を迎えようとしていた男の子A君。突然、生死の境をさまよう大病をし約1か月の入院生活を強いられましたが、幸い病気に打ち勝つことができ、自宅に戻って療養を開始することができました。
その後、成長の上昇曲線が緩やかになりました。
病気や入院生活による環境の変化の影響かな、と思いつつも、少しずつA君の様子にご家族はどこか違和感を感じていました。それが後々わかったのですが、大病前に1~2語はしゃべっていた言葉を大病を境にほとんど話さなくなっていたのです。気が付きにくかったのは、言葉がけには反応するので、生活に困ることがなかったからです。
例えば、公園で「向こうに行こう」と言えば向こうに行くし、遊具に誘っても「リアクションがないことから苦手なのか」と言語以外のコミュニケーションで十分理解できました。
ところが3歳半頃の検診で、言語発達に波があることがわかり、言葉の理解が難しいことから発語が進まないことが判明しました。
「話せない」原因がわかってから、発語してもらうために週に1回、言語聴覚士の療育をうけつつ、自宅でも療育の復習を行うことを継続しました。
小学校2年生頃には活舌は悪いままですが、発語し会話が成り立つまでに成長することができました。
徐々に語彙を増やすことで話す量が増えていくのが当たり前なのでしょうが、A君はある時期を境に急に話すようになったのです。
これは通常発達ではありえない大きな成長を味わうことができ、ご家族はとても感動しました!
「話せる」のに「話さない」?
努力の甲斐もあり、ようやく会話も成り立つようになったA君ですが、小学校の高学年になってもあまりお話しすることがありません。学校から帰ってくるとご家族は「おかえり、今日は誰と話した?」が定番の会話で、「話さなかった」か「ちょっとだけ話した」の回答がほとんどでした。
「いじめかもしれない」と少しは疑いましたが、担任の先生からも「特に問題もなく過ごしている」と伺っており、家庭でもそのような様子は見られません。
他にも「話さない」要因があるのではないかと考えて見ましたが、特段何も見つからないまま小学校を卒業していきます。
中学生になると状況が変わり、小学生の頃より大分「話す」ようになりました。
ある時、「あまり話せなかったのはなぜなのか?」とA君に疑問をぶつけたところ、『「話せない」のではなく「話さない」だけ。話したくないから「話さない」、ただそれだけ』。。。
ご家族としては心配で毎日「今日は誰と話した?」と聞いていましたが、「話さなかった」か「ちょっとだけ話した」回答を聞き、「ああ、今日も誰とも話さなかったのか」、「さみしい学校生活を送っているんだ」と勝手に思い込んでいました。
しかしながら、A君は心配をよそに全くさみしいと思っていなかったようです。
only oneのうちの子は?
A君からすると「話さない方がすごく楽なのに、なんで無理に話さなければならないの」という感覚です。
確かに中学生になってからは学校生活も充実しているようで、自ら話をすることも増えました。
至ってシンプルな考え方で必要最低限の「話し」ができれば良いかもしれません。少なくとも「うるさい!」と言われることはないでしょう。
「話せる」のに「話さない」、それが自分にとって心地いい、それが個性の一つかもしれません。
悪く言えば「黙っていて何考えているかわからない」、良く言えば「寡黙で余計なことは言わず秘密も守ってくれそう」となります。
「話せること」を最大限に生かし「話す」ことが得意で個性的な子どもは人はたくさんいらっしゃいます。将来、TVやラジオなどでは大活躍できそうです。
一方、「話せる」のに「話さない」ことが楽な子ども少なからずいます。
もしうちの子が、「話せる」のに「話さない」時はどこかのタイミングで理由を聞いてあげてください。
もしかしたら、「話さない方が楽だから心配しないで」などと答えてくれるかもしれません。
子どもを育てていく中で、成長を見られるのはそれほど長い時間ではありません。
「話す」子、「話さない」子、「話せない」子、それぞれのうちの子の個性にあわせて、楽しく子育てをしましょう。
ほかの子と比べるのではなく、それぞれがそれぞれの個性で成長を遂げて、only oneのうちの子になってほしいと切に願います‼