健康習慣:見沼園の食を楽しむ方法

~管理栄養士が介入するまでの不摂生な食生活とその影響~

近年、健康志向が高まる中で、食生活の重要性はますます注目されています。
以前の見沼園では、入所利用者がおやつとして「カップラーメン」、「ポテトチップスまるまる一袋」や「好きなお菓子」を好きなだけ食べ、食事を残しがちになる・・・という不摂生な食生活が続いていました。
この生活を続けていたことから、生活習慣病一歩手前の方が多数おりました。
また、開業からの経年によりご利用者の年齢も高くなってきたことから、管理栄養士である私(筆者)が、生活習慣病予防、食事の全量摂取に重点を置き、おやつのルール変更を行う大改革を行いました。

自分好みにアレンジ:見沼園のおやつ管理法

見沼園では、入所利用者が自分の好みに合わせておやつを選び、カスタマイズすることを推奨しています。
この取り組みは、楽しみながら健康を意識する方法として、多くのご利用者に支持を得ています。
買い物に行った際に、自分自身で好きなお菓子を選ぶことで、食に対する興味を高めることができます。

目 標:お菓子は200キロカロリー以内に!
職員が同行する散歩時に、ご利用者には自分の好きな小分けのお菓子を買っていただきます。
そのお菓子を200キロカロリー以内に調整するスタイルをとることとしました。
このスタイルはカロリー制限はするものの、様々な味を体験できるため、多くのご利用者にとっても楽しく、喜ばれています。
例えば、クッキーやチョコレート、ドライフルーツを組み合わせることで、見た目にも楽しいおやつが完成します。
ポイントは小分けのお菓子を選ぶこと。少しずつ色々なお菓子を楽しむことができ、飽きが来ることもありません。


目 標:ペットボトル飲料の半分は無糖のものに!
さらに、飲み物の管理にも配慮しています。
見沼園では、1週間に500mlのペットボトル飲料4本を目安としています。(他は園がコップ提供するお茶、麦茶、紅茶があります)
4本全てを甘い飲み物にするのではなく、お茶をはじめとする無糖の飲み物を半分選んでもらうようにしています。
この選択肢により、利用者は糖分を控えつつ、さっぱりとした飲み物も楽しむことができます。
この取り組みを開始する前は、コーラー4本、加糖コーヒー2本+果汁ジュース2本・・・等、すべて甘い飲み物としていたご利用者も多かったのが現実です。

このように、おやつと飲み物の両方を楽しみながら、カロリーを管理することは、健康的なライフスタイルを実現するための一助となります。
おやつルールの導入当初は、ご利用者は実はガッカリしていたかもしれませんが、管理栄養士である私が繰り返し理由を説明したことで理解くださり、思ったよりもスムースに定着させることができました。
このアプローチは、心と体の健康を両立させることを目指し、自己管理能力を高める素晴らしい方法です。
自分の好みを大切にしつつ、バランスの取れた選択をすることで、夕食を残す事がなくなり、生活習慣病の予防にもつながっています。

手作りの喜び、笑顔あふれる調理実習:
ハンバーグとカレーライスに挑戦!

見沼園では、ご利用者が楽しみながら学べる調理実習を行いました。
調理実習は増築新棟「はなれ」を建設する際にミニキッチンを訓練・作業エリアに設置したことにより、実現可能となりました!
最近の実習では、初回にハンバーグ、2回目にカレーライス作りに挑戦しました。

1回目:ハンバーグ
初回の実習では、ご利用者が自分たちでハンバーグを作りました。
ひき肉に玉ねぎやパン粉、卵を加え、しっかりとこねる作業からスタート。ご利用者でもこねやすいように、ポリ袋に具材を入れて袋の上からコネコネ。
また、いつもの生活では見られない包丁さばきを披露するご利用者もおり、自信に満ちた表情が印象的でした。
ハンバーグの形を整える作業にはご利用者間の協力が見られ、笑顔があふれました。
焼く工程では、フライパンの中でジュージューと音を立てるハンバーグに期待MAX!
仕上げにオリジナルのソースをかけると、見た目にも美味しい一皿が完成しました。
職員が作った野菜スープとフライドポテトを添えて試食タイム。ご利用者同士で味わいを確認し合い、和やかな雰囲気が広がりました。
いつもは食が細いご利用者、いつもは汁物は残すご利用者も、なんと完食。これには驚きました。まさに食育効果!

2回目:カレーライス
2回目の実習では、カレーライス作りに挑戦しました。
まず、玉ねぎや人参、じゃがいもを切る作業。ご利用者は楽しみながら野菜を刻みました。
カレーの香りが漂う中、肉を炒めてから煮込む工程に進みお鍋がグツグツと音立てると、みんなの期待MAX!
職員が作ったサラダを添えて、お楽しみの試食TIME。
出来上がったカレーは色鮮やかで香も豊か。
盛り付けて試食する時間には、笑顔と歓声が絶えませんでした。

エプロンにバンダナをつけたスタイルのご利用者たちの写真を少しご披露しますね!



この調理実習を通じて、ご利用者は料理の楽しさだけでなく、食材の大切さや栄養についても学びました。
見沼園の調理実習は、単なる料理教室に留まらず、ご利用者同士の交流やコミュニケーションを深める場としても大変意義深いものです。
今後もこうした実習、施設における食育を通じて、健康的な食生活を広めていきたいと思います。

給食委託業者「日清医療食品」の手がける見沼園の多彩なメニュー

見沼園では、安定的で安心安全な食事を提供するために、給食業務を日本最大手である日清医療食品株式会社(以下「日清社」)に外部委託しています。
日清社が提供する給食は、彩りやフレーバー、国際色豊かな料理を取り入れており、ご利用者の食事を豊かものにしています。
さらに、年間で数回ある行事食にも工夫が凝らされています。

■彩り豊かな食事
見沼園のメニューは、視覚的にも楽しめるように彩りを重視しています。季節の野菜や果物をに使い、皿の上に色鮮やかな料理が並ぶことで、食欲を刺激します。
色彩豊かな料理は栄養バランスも考慮されており、健康的な食生活をサポートします。

■フレーバーの工夫
多様なフレーバーを取り入れたメニューは、味わいの楽しみを提供します。和食、洋食、中華などのバラエティに富んだ料理が日替わりで用意され、利用者は毎回新しい味を楽しむことができます。香辛料やハーブを使ったアレンジにより、食事がさらに豊かになります。
見沼園の生産活動の一環として取り組んでいるハーブガーデン(プリモカンポ)で収穫したパセリ、バジル、オリーブ等も時々登場します!

■国際色豊かな料理の導入
国際色豊かな料理を取り入れることで、食文化の多様性を尊重しています。
日本の伝統的な料理だけでなく、イタリアンやアジア料理などもメニューに加え、利用者が異なる食文化を体験できる機会を提供しています。
これにより、食事が単なる栄養補給ではなく、味覚の開発や、楽しみや学びの場となっています。

■バラエティに富んだ行事食
行事食も見沼園の魅力の一つです。
季節のイベントや祭りに合わせた特別メニューが提供され、利用者にとって思い出に残る食事体験を提供しています。
例えば、正月にはおせち料理、ひな祭りにはちらし寿司、夏祭りには郷土料理など、行事に合わせた料理が用意されます。
これにより、食事が単なる日常の営みではなく、特別な思い出を作る場となります。

見沼園配属の日清社の担当者は、「行事食を通じて、利用者に美味しい、うれしい体験を提供することが大切です」と語ってくださいます。
このように、見沼園の食事は、利用者の心身の健康をサポートし、食事の時間をより特別なものにするために常に進化し続けています。


見沼園の食の取り組み:楽しみながら学ぶ健康管理

以上の通り、見沼園では、利用者の健康を支えるために多様な取り組みを行っています。
制限・制約がある中でも様々な味を楽しむことができます。
自由な選択肢は、食に対する興味を高め、自己管理能力の向上にも寄与します。

調理実習は、ご利用者が料理の楽しさを体験し、食材の大切さを学ぶ貴重な食育の場となっています。
初めて包丁を使う方も、自信を持って料理に取り組むことで、達成感や仲間との絆を深めることができます。
これらの活動は、心の健康を育むだけでなく、コミュニケーションの場としても重要です。

最後に、日清社による多彩な料理の提供は、視覚や味覚を楽しませ、食文化の理解を深める機会を提供しています。
彩り豊かでフレーバーに富んだメニューは、利用者の食事をより充実させ、食事の時間を特別なものにしています。

これらの取り組みを通じて、見沼園はご利用者に対し、身体的な健康と心の豊かさの両方を提供し、充実した生活を支える重要な役割を果たしています。
今後も、これらの活動を続け、さらなる食の楽しさと健康促進を目指していきたいです。