これから実習を迎える方へ。社会福祉士実習の流れを受け入れ法人が紹介
社会福祉士を目指す学生にとって、実習は“現場の空気”を知る大切な機会です。
2021年の制度改正により、実習時間の増加や複数施設での経験が必須となり、より現場に近い学びが求められるようになりました。
「実際の相談支援ではどんな仕事をしているの?」「どんな場面を見学できるの?」
そんな不安や疑問を持つ学生の皆さまに向けて、ここでは改正ポイントと、当法人『あんしん相談室』で実際に体験できる実習内容をわかりやすく紹介します。
実習のイメージをつかむヒントになれば嬉しいです。
制度改正:実習はどう変わった?
2021年の改正により、実習の内容や条件にいくつか変更がありました。ここでは、ポイントを絞って説明します。
①実習時間の拡充
従来の180時間以上から 240時間以上 に増えました。
これにより、学生はより多くの現場体験を通して、知識を実践に活かす機会が増えています。
②複数施設での実習の義務化
「機能が異なる2か所以上の施設(機関)」での実習が必須になりました。
相談支援や施設運営、在宅支援など、幅広い支援場面を体験できるようにするためです。
③免除制度の整理
精神保健福祉士などの既資格者は、最大60時間まで実習の免除が可能です。
学生の経験や負担に応じて、柔軟に実習時間を調整できるようになっています。
あんしん相談室ってどんなところ?
当法人では、社会福祉士を目指す学生の実習を受け入れています。
実習生は、障害者(児)相談支援を行う 「あんしん相談室」(見沼園内) に配属され、さまざまな現場を体験できます。
安心して学べるよう、スタッフ全員でサポートしています。

🌸サポート体制
・相談支援専門員4名(うち実習指導者講習会修了者3名)が在籍しており、障害児・者の相談支援における様々なケースや支援場面を体験可能です。
・実習日程は必ずしも 連続する日程でなくても受け入れOKです。生活スタイルに合わせて無理なく取り組めるように協力いたします。特に、社会人学生さんは通常の勤務を継続しながらの実習はかなり大変ですので、事前調整を丁寧に行い本業に支障を来たすことのなきよう配慮をしています。
・見沼園の特徴は主事業が「障害者支援施設」であることです。障害者支援施設とは、入所機能と日中活動機能を併せ持つ施設です。そのため、施設入所支援と生活介護という2つの事業を行っており、日常的にご利用者との関わりも持つことができます。
相談支援事業だけの実習と比較すると、日常生活を送っているご利用者とのコミュニケーションが取れるため、そこからの気づきや学びを多く得ることができます。
・複数の学校(大学、専門学校)からの実習依頼を受け、実績件数多数!
18歳~22歳までの実習生はもちろんのこと、
セカンドキャリアを見据えての資格取得目指す社会人学生も多数。大手ゼネコン会社、製薬会社等福祉系とは縁遠そうな業界の方も実習生としていらっしゃいます。
実習オリエンテーションの際に、なぜ社会福祉士を目指すのかをお伺いし、実習生一人ひとりに合わせたサポートをしております。
どんな体験ができるの?60時間編
それでは、実際にあんしん相談室ではどのような実習をしているのかご紹介します。
今回は、60時間プログラムをご紹介します。
あんしん相談室の実習は、社会人でも無理なく参加できるよう工夫されています。
1日8時間×8日間(計64時間)
実習時間は営業日と合わせ、原則火~土の9:30~18:30です。
普段はフルタイム勤務をなさっている方でも、土曜営業としているので、週1回土曜だけ参加して実習を終えた方もいます。もちろん、他の曜日がお休みの場合には、その曜日だけ参加でもOK!
事前にあんしん相談室実習指導担当者がオリエンテーションを行いますので、実習シフトや持ち物、注意点などを一緒に確認してからスタートします。
相談支援の対象者は未就学児・児童から成人まで、障害の種類も身体・知的・精神の三障害で特に限定はなく幅広く対応します。
相談支援専門員と一緒に、障害福祉サービスの利用状況に関するモニタリングや関連事業者が参集して開催する担当者会議に同席することで、現場のリアルな雰囲気を体験できます。
実習では、1日ごとに「学びのねらい」を設定し、目標を意識しながら参加することが大切です。
ここでは、とある1日の例を紹介しますね。

*スケジュール例
9:30 当日の確認・オリエンテーション
10:00 就労継続支援B型事業所 / 担当者会議
12:00 休憩
13:00 放課後等デイサービス / モニタリング
16:15 障害者支援施設 / 認定調査同席
17:30 1日の振り返り
この日のねらいは 「他機関・多職種との連携を学ぶ」 こと。
たとえば10:00の担当者会議では、このクライアントの日中活動先である就労継続支援B型のサービス管理責任者、入居先のグループホーム職員、訪問看護の管理者が参加しました。
1人のクライアントに関わる様々な人たちが情報を共有し連携する場として、担当者会議は非常に有効です。
クライアントの生活はシームレス。生活の中で関わる関係者は、おのずと「チーム」となっているわけです。
相談支援では、シームレスな支援がどのようにチームで行われているのかを学ぶことができます。
現場では、基本的に相談支援専門員の横で会議や支援の様子をご覧いただきます。(もちろん、クライアントや関係者が実習生の同席をご承諾いただけた場合に限ります)
ときには、面談の場で実習生に感想をお聞きすることもあるかも・・・。
実習では、必ずその日の振り返りを行うので、実習指導者に感じたことを伝え、疑問点等をたくさん質問してください。遠慮なく自由に話しいただくことが、頭の整理となり学びとしてしっかり記憶されるようになります😊
車での移動時間が多い日もありますが、移動時間は貴重な時間!その間も実習指導者と一緒に話をしながら学べる時間となります。
あんしん相談室の業務については、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください👇👇
相談支援専門員ってどんな仕事?― 利用者に寄り添う“縁の下の力持ち”のリアル – 聖徳会の魅力を掛け合わせ・発信するメディア | Hotch-potch(ハッチポッチ)
相談支援の仕事、ちょっとのぞいてみよう
あんしん相談室の社会福祉士実習では、相談支援専門員が日々行っている業務の流れを、そのままの形で体験できるようにしています。
クライアントへの支援がどのように組み立てられ、どんな場面で判断や調整が行われているのかを、現場の視点でつかむことができます。
事業所内の自席にいる際は、普段から自然と相談支援専門員同士がケースについて意見交換を行っていますので、その会話を聞くことで、支援の判断や方向性がどのように検討されているのかを知ることができ、相談支援の仕事の奥深さをより理解しやすくなります。
実習中は、相談支援の“表に見える仕事”だけでなく、記録の整理や関係機関との情報共有、訪問時の観察ポイント、月次でクライアント宛に送付する文書の準備など、実際の支援に欠かせないプロセスにも触れられます。
初めての人でも理解しやすいよう、その日のねらいを一緒に確認しながら進めていくので安心してくださいね。
「相談支援の仕事の流れを知りたい」
「自分が支援に関わるイメージをつかみたい」
そんな学生の皆さまにとって、一日の動きが具体的に見える実習です。
最後に、実習生の声をいくつか紹介します。
・面談に同席した際、相手の言葉だけでなく、表情や視線、行動といった非言語的なサインを観察することで、気持ちを読み取る練習ができた。(60代/女性)
・実習を通して、自分自身の課題にも気づくことができた。リフレーミングの体験を通じて、物事のネガティブな側面に目が向きがちな自分を自覚した。(20代/女性)
・実際にクライアントへの聞き取り(アセスメント)を行い、質問の難しさや言葉選びの重要性を実感した。
相手にわかりやすい言い回しや、傷つけない聞き方を考えるとなかなか言葉が出ない場面もあった。後から聞き忘れに気づくこともあり、現場ならではの学びとなった。(30代/女性)
・想像していたよりも年齢や特性の幅が広く驚いた。実習中に、自分の中での障害へのイメージが変化していくことを感じた。(20代/男性)
・1人への支援に、多くの機関が関わっている場面を目の当たりにした。家族状況などプライベートな部分に触れる機会もあり、相談支援の実習に来なければ関わることがない経験だった。
(40代/女性)
いかがでしたか?😊
実習開始後数日は同席中も緊張して、無表情で座っていることが多かった実習生もいます。
しかし、日が経つにつれて、職員のやり取りを見ながら自分なりに考え、時には簡単な質問をしたり、クライアントに声をかけたりする場面も見られるようになる方が大勢いらっしゃいます。
1か月の実習を通じて、開始後と比べて実習態度やクライアントとの関わり方に変化が見られるので、実習で成長をしていただけるのは確かだと感じています。
一方、実習指導者にとっても「教える・教わる」だけの関係ではなく、多くの気づきを得る学びの時間になっていると感じています。
社会福祉士実習の経験が、皆さまの学びをさらに深めるきっかけとなり、福祉業界の魅力を知る一助となれば幸いです。

