寄り添う力が自然と身につく ~ご利用者と心を結ぶコミュニケーションのコツ~

人と向き合うお仕事では、ちょっとした声のかけ方や距離の取り方で、安心感や信頼関係が大きく変わります。
聖徳会では、ご利用者一人ひとりの気持ちに目を向け、その人に合った形でそっと寄り添える関わりを大切にしています。

私自身も、現場で支援を重ねるなかで、
「どう声をかけたらいいんだろう?」
「どんな関わりが安心につながるのかな?」
と迷いながら、少しずつ学んできました。

ここでは、ご利用者と“心を結ぶ”ためのコミュニケーションのコツを、現場で働く職員の視点からお伝えします。

寄り添いの第一歩は「気づき」と「共感」から

支援の出発点は、ご利用者の気持ちやペースを大切にし、日々の小さな変化に気づくことです。
ご利用者に思い込みで関わってしまうと、知らないうちに不安を与えてしまうこともあります。

私も、ご利用者の表情やしぐさを見ながら「今どんな気持ちなんだろう?」と想像し、寄り添うことの大切さを現場で教えてもらいました。

障がいの特性によっては、気持ちを言葉で伝えることが難しい方もいます。
だからこそ、表情や動き、ちょっとした反応に目を向けることが、コミュニケーションの大切な手がかりになります。

「言葉が少ない=気持ちがない」わけではありません。
ご利用者一人ひとりに、その方なりの表現が必ずある——
そう意識することで、関わり方も自然と変わっていきました。

🌼ご利用者のペースを尊重する
急がせず、押しつけず、そばで見守るだけでも安心につながります。
着替えや食事も、その方にとって取り組みやすい順番やタイミングに合わせるよう心がけています。

🌼ご利用者の気持ちに共感する
“その気持ち、わかるよ”
という姿勢で接すると、少しずつ心の距離が近づきます。

🌼ご利用者の小さな変化に気づく
表情・しぐさ・声のトーン…。
「いつもと違う?」に気づいて声をかけたり、環境を整えることが安心感につながります。

“伝わる”をつくるコミュニケーションの工夫

~私が日々大切にしていること~

寄り添う気持ちを“伝わる形”にするためには、ちょっとした工夫が欠かせません。
ここでは、私自身がご利用者支援の中で効果を感じてきたポイントを紹介します。

① 短く・やさしく伝える

一度にたくさん話すよりも、ひとつずつゆっくり伝えるほうがご利用者は理解しやすいです。
行動を促すときも「まずは〇〇をしましょう」と、一つの行動に絞って伝えることを心がけています。

障がいがある方の中には、長い文章や複雑な言い回しの理解が難しい方も多くいらっしゃいます。
そのため、短い言葉や単語、二語文など、できるだけシンプルな表現で伝えることを大切にしています。

「伝えたつもり」ではなく、「伝わったかどうか」を意識することで、安心して行動につながる場面が増えてきました。

② 選択肢を示す — “自分で選べる”安心感

「どうする?」と聞くよりも、「赤と青、どちらにする?」のように選べる質問の形にすると、ご利用者は安心して意思を伝えやすくなります。
言葉での理解が難しい方でも、「見て選べる」ことで、自分の気持ちを表現しやすくなります。

そして何より、自分で選べたという満足感につながります。

食事の場面では、写真付きの選択メニューがとても好評で、「今日はこっちにしたよ!」と嬉しそうに教えてくださる姿もよく見られます。

自分で選べるスイーツメニュー🍰
選ぶ楽しさを大切にしながら、日常の中での
「自分で決める」経験につなげています。

③ 肯定的な声かけで自信を引き出す

「できたところ」「頑張れたところ」を具体的に伝えると、ご利用者の表情がぱっと明るくなる瞬間があります。
私も「ここがとても上手でしたよ」「一緒に頑張れましたね」と、良い部分をしっかり言葉にして伝えることを大切にしています。

小さな成功でも伝えることで、ご利用者の自信や前向きな気持ちが自然と育っていくのを感じています。

④ 表情やジェスチャーも添えて伝える

うなずき、笑顔、手振りなど、言葉以外のサインも大切なコミュニケーションです。

また、発語がない方には絵カードなど“目で見てわかるツール”がとても有効です。

実際に絵カードを取り入れて、気持ちや希望がスムーズに伝えられるようになった方もいます。
発語がない方や、言葉より視覚情報のほうが理解しやすい方にとって、絵カードは「伝えたい気持ちを形にできる大切なツール」だと感じています。

気持ちやお願いごとを伝えやすくするための「絵カード」。
その方の理解や伝えやすさに合わせ、コミュニケーションのサポートとして活用しています。
絵カードを使って、職員に気持ちを伝えている場面。
言葉だけに頼らず、その方に合った方法で安心して意思表示ができるよう支援しています。

⑤ 「待つ」ことで尊重を伝える

返事や行動に時間がかかる方もいます。
また、ご利用者によっては「いつもと同じ流れ」でないと不安になったり、急かされることで気持ちが乱れてしまう方もいます。

すぐに反応がなくても、その方なりに考えたり、気持ちを整えている時間かもしれません。
そんなときに急かさず、そばで見守ることで「あなたのペースで大丈夫だよ」という安心感は自然と伝わります。

実際に、落ち着いて自分から動き出す姿を何度も見てきました。
ご利用者のペースを尊重して“待つ”ことで、自発的な行動が生まれたり、新たな一面に気づけることもあります。

その人らしさを活かす前向きな支援へ

寄り添うコミュニケーションが少しずつ身についてきたら、次はご利用者一人ひとりの強みを活かした支援を意識してみましょう。

障がいの特性は一人ひとり違い、同じ支援がすべての方に合うわけではありません。
だからこそ、「その人を知ろうとする姿勢」そのものが、支援の土台になると感じています。

私自身、聖徳会での経験の中で「その方ならではの力をどう活かせるか」という視点の大切さを強く感じてきました。

🍀 障害特性を理解する

得意なことや苦手なこと、感覚の敏感さ、集中しやすいポイントなどを知ることで、その方が安心して過ごせる環境づくりができます。

たとえば自閉症のある方の中には、
・予定が見通せないと不安になりやすい
・音や光などの刺激に敏感
・こだわりが強い
といった特性を持つ方もいます。

そうした特性を「困りごと」として捉えるのではなく、「安心して過ごすために必要な配慮」として理解することで、その方の力が発揮されやすくなると感じています。

「できないこと」「難しさ」よりも「取り組みやすくする工夫」に目を向けることが、前向きな支援につながります。

集中力が高い、決まった作業を丁寧に続けられるなど、一人ひとりの「その人らしい強み」に目を向けることで、支援はぐっと前向きであたたかいものになっていきます。

🍀 スモールステップで進める

作業や活動を“いきなり全部”ではなく、「まずはここまで」「今日はこの一つだけ」と小さく区切って進めることで、ご利用者が不安を感じにくくなり、安心して取り組めるようになります。

無理のないペースで「わかる」「できる」を積み重ねることが、次の行動への自信につながっていくと感じています。

🍀成功体験を一緒に育てる

小さな「できた」を見逃さず、一緒に喜ぶことを大切にしています。

たとえ途中まででも、「最後までできたか」ではなく「どこまで頑張れたか」に目を向けるようにしています。

「ここまでできましたね」「さっきより上手になりましたね」と、具体的に言葉にして伝えることで、ご利用者の表情がやわらぐ場面も多くあります。

職員が一緒に喜び、達成感を共有することで、「できた」「またやってみたい」という気持ちが少しずつ育っていくのを感じています。

施設の近くにある公民館の文化祭に出品した作品。
お一人おひとりが得意なことを活かし、楽しく作品づくりに取り組みました✨
飾られたご自身の作品をご覧になり、皆さんとても嬉しそうなご様子でした☺

まとめ:今日から始められる小さな一歩

支援で大切なのは、ご利用者一人ひとりの気持ちを大切にし、できることを少しずつ積み重ねていくことです。
完璧でなくて大丈夫。

「今日できる小さな工夫」を意識するだけで、関わりは自然と変わっていきます。

ご利用者をよく知ろうとすること。
その思いに寄り添うこと。
そして、日々の何気ない会話や楽しい時間を一緒に過ごすこと。

そうした日常の積み重ねが、少しずつ信頼関係を育てていくのだと、現場で感じています。

私自身も、聖徳会で日々学びながら、ご利用者と一緒に成長していきたいと思っています。

もし「支援の仕事に挑戦してみたい」と思っている方がいたら、どうかその一歩を大切にしてください。
あなたの優しさが、誰かの安心につながります。

一緒に“今日の一歩”を積み重ねていきましょう。

ご利用者と一緒に、お花を植えました🌼
その何気ない時間の積み重ねが、安心や信頼につながっていくと感じています。
これからも、お花の成長を見守るように、
一人ひとりに寄り添った支援を大切にしていきたいです。

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