「サービス担当者会議」とは?現場で生まれる“チーム支援”の力

一人では届かない支援を、チームで届ける。相談支援専門員が中心となって開く「サービス担当者会議」の役割と、現場で生まれるチーム支援の力を紹介します。

〜相談支援専門員が語る、福祉の現場から〜

「このままじゃ、一人では支えきれない」

そう感じたとき、私たちは“チーム”で集まります。
それが、相談支援専門員が支援の中心で開く「サービス担当者会議」です。
「一人では難しいことも、チームならきっとできる。」
福祉の現場では、そんな瞬間に何度も立ち会います。
利用者さんの暮らしを支えるには、医療・福祉・教育・就労・地域など、さまざまな分野の力が必要です。

その間に立ち、支援をつなぐのが相談支援専門員

そして、その専門員が持つ最大の“武器”が――サービス担当者会議です。

✨相談支援専門員とはどんな仕事?

相談支援専門員は、障害のある方やご家族の相談を受け、必要な支援を整理・調整する専門職です。
「どんな暮らしをしたいか」「どんな支援があると安心できるか」を一緒に考え、サービス等利用計画を作成します。

例えば、次のような相談があります。

・一人暮らしを始めたい
・仕事を見つけたいけど不安
・生活のリズムを整えたい
・家族の負担を減らしたい
・地域で安心して暮らしたい

こうした相談に対して、就労支援やヘルパー事業所、医療機関、行政など多くの関係者が関わります。
だからこそ、みんなで話し合い、方向をそろえる場が必要になります。

それが「サービス担当者会議」です。

相談支援専門員の仕事については、以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

🔗 関連記事:
相談支援専門員ってどんな仕事?― 利用者に寄り添う“縁の下の力持ち”のリアル
相談支援専門員の一日や具体的な支援内容を、現場の声とともに紹介しています。

✨「サービス担当者会議」ってどんな会議?

この会議には、ご利用者を中心に、多職種の支援者が集まります。

・ご利用者本人・ご家族
・相談支援専門員※進行役
・行政職員
・障害福祉サービス事業所の職員
・医療スタッフ(医師、看護師、相談員など)
・学校や保育園の先生
・地域包括支援センターのケアマネジャー 等

一人の生活を多方面から支えるために、情報を共有し、支援方針と役割を話し合う場です。

開催のきっかけは――

・福祉サービス更新のタイミング
・生活や健康状態の変化があったと
・支援者間の情報共有が必要なとき

相談支援専門員は、こうした会議を通じて「今、どんな支援が必要か」「誰がどう関わるか」を整理していきます。
まさに、“チーム支援”の起点となる場です。

✨チームワークが生まれる瞬間

この会議の一番の魅力は、支援のチームワークが“目に見えて生まれる瞬間”に立ち会えること。

・事業所の職員が日中の様子を共有する
・ヘルパーが自宅での変化を伝える
・医療スタッフが健康面をアドバイスする

情報がつながると、支援の全体像が立体的に浮かび上がります。
その糸をまとめ、方向を整えるのが相談支援専門員の役割です。

✨会議を成功させる工夫

円滑で実りある会議にするためには、いくつかの工夫があります。

事前準備:関係者から情報を集め、論点を整理しておく
安心できる雰囲気づくり:感情的な場面でも、誰かを責めるのではなく「事実」と「気持ち」を分けて整理する
わかりやすい言葉選び:専門用語を避け、ご本人やご家族が理解できる言葉で話す
限られた時間で公平に:1時間ほどの会議で、全員が発言できるよう進行を工夫する

会議後も、記録・振り返り・モニタリングを続けていきます。
支援は一度で終わりではなく、**変化に合わせて更新される“チームのプロセス”**です。

✨「個別支援会議」との違い

「個別支援会議」は、ひとつの事業所の中で支援内容を話し合う場。
一方「サービス担当者会議」は、医療・教育・行政など、複数の機関が連携し、生活全体を支える会議です。

それぞれが別方向に動いてしまうと、支援がちぐはぐになることも。

だからこそ、まず全体で方針を共有し、そのうえで各事業所が具体的な支援を考える――これが理想の流れです。

✨実践事例から見える“支援のつながり”

事例① 学校と連携して支援を整えた児童

■対象者:小学校低学年の男の子(発達障害)
■開催場所:小学校の教室
■参加者:お母様、教頭、担任の先生、放課後等デイサービス職員、相談支援専門員

ADHDのある小学生の男の子。

放課後等デイサービスでは落ち着いて活動できていたものの、授業中に席を離れることが増え、保護者から相談がありました。

学校で会議を開き、デイサービスで効果のあった「活動の見通しを伝える」「短い課題を段階的に提示する」支援を共有。

学校でも取り入れた結果、授業に集中できる時間が増えていきました。

関係者が同じ方向を向いたことで、子どもが安心して過ごせる環境が整いました。

教育と福祉、それぞれのちがいを理解し合いながら、子どもが安心して過ごせる環境をチームで整えた事例です。

この会議で私が心がけたこと。
それは、学校の先生方に会議の位置づけや必要性を丁寧に説明し、参加への理解と協力を得ることでした。
教育と福祉は一見近い分野に思えますが、制度の仕組みは大きく異なり、児童へのアプローチにも違いがあります。
そうした違いを互いに理解しながら、共通の目標に向けて支援のチームづくりを進めました。

学校関係者との連携については、国から通知が出ており、ご協力いただける場面も増えてきています。

〈参考〉
地域における教育と福祉の一層の連携等の推進について
教育と福祉の一層の連携等の推進について

事例② 行動障害のある方の活動環境改善

■対象者:20歳台後半の男性(知的障害)
■開催場所:就労継続支援B型事業所
■参加者:ご本人、お母様、就労継続支援B型の職員、訪問看護ステーションの看護師、相談支援専門員

20歳代後半の男性。

特別支援学校を卒業後、就労継続支援B型事業所に通っていました。
人との関わりが好きで作業能力も高い一方、相手の反応を読み取りにくく、トラブルが起こることがありました。

そこで、相談支援専門員から他の事業所で行っている支援の例をいくつか提案しました。
その中から、ご本人、支援者双方が「これならできそう」、と思うものを検討しました。

話し合いを重ねた結果、毎日の作業終了後に短い振り返り面談を行うことを決めました。
一日の中で良かったことや改善すると良い点を、ご本人が理解しやすい言葉で整理して伝える支援です。

また、ご本人には、先の見通しが分かると安心して活動できるという傾向がありました。
そのため、一日の流れや人と関わるときに気を付けることが目で見て分かるよう、写真を使ってマニュアルやスケジュールの提示を行いました。これは「構造化」と呼ばれる支援方法の一つです。

会議では、「一日の終わりに短い振り返り面談を行う」「見通しを写真で示す構造化支援を取り入れる」などを話し合い、実践。

少しずつ周囲の反応を見ながら関われるようになり、作業の評価も上がり、工賃アップにもつながりました。

小さな気づきの積み重ねが、本人の成長を支えた事例です。

事例③ 介護保険サービスへの移行支援

■対象者:70歳台後半の男性(知的障害)
■開催場所:グループホームの食堂
■参加者:ご本人、グループホームの職員、就労継続支援B型の職員、市役所の職員(障害福祉担当、介護保険担当)、基幹相談支援センター、地域包括支援センターのケアマネジャー、相談支援専門員

身寄りのない70歳代後半の男性の事例です。

長年グループホームで暮らし、就労継続支援B型に通っていましたが、体力の低下と入院をきっかけに、今後の生活を検討する会議を開催。

「あと半年は仕事を続けたい」という本人の希望を尊重しながら、介護保険の担当者や地域包括支援センターと連携。

しかし、食事の際にむせることが増え、肺炎で入院することもありました。
段差の昇り降りにも支援が必要になり、支援者の間で心配の声が上がりました。

そこでサービス担当者会議を開催し、今後の暮らしを話し合いました。

ご本人は「あと半年は仕事を続けたい。その後はのんびり暮らせる場所を考えたい」と話しました。
その思いを大切にし、介護保険のケアマネジャーにも加わってもらい支援を調整しました。

私は介護保険利用に向けた手続きから、介護を受けられる住いへの転居に向けた行程表を作成し、関係者に提案しました。
そして、事業所の見学同行や介護保険の利用手続きは、会議に参加したメンバーに役割分担し、対応をお願いしました。

要介護認定を受けた後、週に1日から通所介護(デイサービス)の利用を開始。同時に住いの見学なども行いながら、半年後、サービス付き高齢者向け住宅に転居し、「ここはゆっくりできていいね」と穏やかな表情を見せていました。

障害福祉と介護保険の橋渡しをチームで行った好例です。

障害福祉と介護保険には似たサービスが多く、非常に密接な関係にあります。
しかし、65歳を迎えた方が障害福祉サービスから介護保険サービスへ移行する際の手続きは、実際にはとても複雑です。

そのため、会議には行政の担当者にも参加してもらい、手続きを一つひとつ確認しながら進めています。


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実際に私が行ったサービス担当者会議をご紹介しましたが、これはほんの一例です。
ご利用者ごとに関わる人は変わりますし、話し合う内容も千差万別です。

ご本人の「思い」や、日々刻刻と移り変わる状況に合わせながら、相談支援専門員はこのサービス担当者会議を行っています。
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✨相談支援専門員という仕事の魅力

利用者と支援者をつなぎ、
支援者同士をつなぎ、
地域の資源をつないでいく――。

その中心にあるのが、サービス担当者会議です。

会議の中で方向性が見えたとき、
ご利用者の暮らしが少しずつ変わっていくとき、
チームが動き出す瞬間に、心から思います。

「この仕事をしていてよかった」と。

この仕事を通して感じたこと

福祉の仕事は、「人の人生に関わる仕事」であり、同時に「チームで支える仕事」です。

サービス担当者会議は、その象徴です。

一人の生活を支えるために、多くの人が知恵と想いを持ち寄る。
その輪の中で、誰かの暮らしが少しずつ前に進んでいく。

私たちはこれからも、地域の中で支援の輪を広げ、
**「誰もが安心して暮らせる社会」**を目指していきます。

そして、その輪をともに広げる仲間が増えていくことを願っています。


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