職員に聞いてみた!ご利用者との関係性構築のポイント!

障がいのある方と接したとき、「どのようにコミュニケーションをとったら良いのか」か悩んだことはありませんか?
聖徳会職員も同じように悩みながら支援をしていますが、その経験談から接し方のヒントになるモノがあるかもしれません。
聖徳会各拠点の精鋭にご利用者との関係性構築のポイントについてインタビューしましたのでご紹介します!

障害者支援施設職員の場合

■見沼園40代男性職員
①聖徳会歴:26年
②現職:サービス管理責任者兼生活支援員
③現職経験年数:サービス管理責任者1年、生活支援員26年
④関係性構築のポイント
・会話ができる方とは出来るだけ相手の話を引き出し、応えていきます。
・会話が難しい方とは、ちょっとした表情の変化や目線などから、声掛けをして共感を得られるようにしていくことです。
⑤関係性を構築する際のうまくいった事、難しかったことなどエピソード
ある女性ご利用者は、間違っていることを指摘すると怒って話もしてくれず、近くにも来てくれなくなります。
ですが、ご本人にとって気になること(家のペットや子供の話が多いです)になると楽しく話が出来ることが多いという特徴を知っているので、上手く混ぜながら話しをすることによって、気持ちをほぐしていき、受け入れていただけるようにしています。

■行田園30代女性職員
①聖徳会歴:14年
②現職:生活支援員
③現職経験年数:14年
④関係性構築のポイント
・言葉での関りが可能な場合は、そのご利用者の好きなことや話したいことを聞くことが多いです。(話したい気持ちが強い方は、うれしかったことや楽しかったことの同じ話題を繰り返すこともあるので、初めて聞いた装いで聞くこともあります)
・コロナ禍でマスク着用となり、マスクで顔の表情がみえにくくなっているため、目線や目つきに気を付けています。
・マスクをしていても目元から笑顔は伝わりやすいので、笑顔でご利用者と関わるように心掛けています。
・言葉での関りが難しいご利用者に対しても目元が冷たい印象に感じないように、柔らかい表情で接することを心掛けています。
⑤関係性を構築する際のうまくいった事、難しかったことなどエピソード
エピソード1:ご家族と電話したい気持ちがあるA様(女性)
A様は職員に気を使ったり照れてしまい、なかなか自分から職員へ電話がしたいと伝えることができない様子がありました。
就職後数年は、A様の気持ちに気づかなかったことも多くありましたが、一緒に過ごしていくうちに電話したい時間帯や職員の近くでソワソワしていたりとA様なりのサインの出し方を発見!
私が担当職員であった時はサインが多く出ていたためA様にとって「担当職員=電話担当」と決めていたのかもしれません。
もちろん担当でない時もサインは出ていました。A様は最初は遠慮して「いい(電話かけなくてよい)」「〇くん(ご家族の名前)忙しいから・・・」と気を使っていましたが、こちらから電話したいサインに気づきて「電話する?」と話しかけると、照れながらも「うん」と頷くことが多くなりました。
最近A様はお部屋でテレビを見て過ごすように変わり、サインを出すことが減ってきていますが、これからも電話がしたい気持ちをサポートしていこうと思っています。

エピソード2:動物好きな女性ご利用者B様
B様は個人専用テレビを購入するまでは、他のご利用者と毎週土曜日に動物番組を見ていました。
時々、動物について雑談をしていたところ、中庭通路につばめが巣作りをしたり雛が育ったりすると教えてくださるようにようになりました。
その他でも、髪を伸ばしていることやテレビ番組でこんなことをやっていた等、ボソッとお話してくださることも。
昨年印象深かったB様からの報告会は、「男性棟の窓から野良猫の姿が見えた」「食堂の窓から、犬の散歩をしている方が見えた」とのお話。
ボソッ、の報告会が私にとって密かな楽しみになっています。

■行田園40代女性職員
①聖徳会歴:6年
②現職:生活支援員
③現職経験年数:6年
④関係性構築のポイント
ご利用者が楽しみにしている時間、大切にしている時間を共有し、私自身もその時間を一緒に楽しみ大切にすることです。
ご利用者の趣味である折り紙を一緒に折って作品を作ったり、大切に集めている雑誌を一緒に読ませていただいたりしながら談笑し、関係を築いていきました。
また、ご家族のお話や入所する前の生活のお話をされるご利用者も多いですが、それらのお話に耳を傾け、時にはご利用者の昔のアルバムを一緒に開くなどし、その方の人生に寄り添うことを心がけています。
もう一つは、ご利用者の些細な訴えを見逃さず、丁寧に対応することです。
コミュニケーションが難しいご利用者も、表情などで「今何がしたい」のか、「どんな気持ち」なのかを訴えてこられます。
些細な変化に気付けるよう努力し、それらの訴えに対して一つ一つ丁寧に対応することで、ご利用者の安心感に繋がるよう心がけています。
⑤関係性を構築する際のうまくいった事、難しかったことなどエピソード
自閉症のC様は、言葉のキャッチボールが難しく、ご自分の気持ちを伝えることが難しい特徴があります。
私も最初はC様と目が合っても、何を訴えているのかが分かりませんでした。
C様は子供向けのテレビ番組が好きで、いつもそれらのDVD を観たり、音楽を聴いていらっしゃいます。
ちょうど私もC様がお好きなキャラクターや音楽をよく知っていました。
「これは◯◯ちゃんですね。可愛いですよね、Cさんも好きですか?」などと、日々の関わりの中でC様が好きなものについて意識的に話題に取り入れることを繰り返していると、「この人、知ってるんだ!」と思ってくださったのか、私を見るC様の目が変化してきました。
些細な会話ややり取りの積み重ねで、C様と少しずつ関係を築くことが出来たと思っています。

グループホーム職員の場合

■ルーチェ40代男性職員
①聖徳会歴:2年
②現職:世話人・生活支援員
③現職経験年数:2年
④関係性構築のポイント
ご利用者の好きなアニメや歌、テレビの話題を一緒に話をしたり、ご利用者から話しかけやすい空気づくりをし、私も楽しみながら一緒に会話します。
ご利用者は、職員の表情も良く観察しています。
ルーチェでは、全てのご利用者が言葉でのコミュニケーションを取ることができますが、難しい場合には手話や筆談などもありかと思います。
⑤関係性を構築する際のうまくいった事、難しかったことなどエピソード
D様は職員に慣れるまでコミュニケーションを取ることが苦手で、話しかけやすいように工夫した声がけが必要でした。
D様の日常生活で出来ていないことを伝えるために、どのようにお話したらD様へ上手く伝わるのか、ご理解し受け入れていただけるのか、難しさを仕事しながら感じています。(ニュアンスを変えたり、冗談を言ったり、笑顔で伝えたり・・・日々、工夫を重ねています!)
職員が心を開いてご利用者と接し、日常生活のコミュニケーションが少しずつ取れてきてことで、関係性の構築ができてきたと感じています。

障害児通所支援職員の場合

■40代女性職員
①聖徳会歴:5年
②現職:児童指導員
③現職経験年数:5年
④関係性構築のポイント
基本的な事ですが、「顔を見て挨拶をする、声をかける」ことです。
主語は「自分が」ではなく、あくまでも「ご利用者が」という気持ちをもって支援することだと思います。
そして、「待つ」「傾聴する」ことも、重要なポイントだと考えます。
声をかけたり挨拶をしても、ご利用者から返答や反応がないこともあります。
それでも職員が同じように声をかけたり挨拶をすること、言葉だけではなくいつでも同じような対応・環境であり続けることで、この場所が安心できる場であり心を許せる職員となれるのだと思います。
⑤関係性を構築する際のうまくいった事、難しかったことなどエピソード
入職したての頃、ご自分の世界観をお持ちのE様は、私の声掛けに素っ気ない返答で、慣れるまでに時間がかかりました。
もっと親しくなりたい!と思いつつもE様のパーソナルスペースに無理に入らず、ドアを開けてくれたら入る程度の近さで、好きなアニメや歌の話題などで少しずつお話が出来るようになりました。
送迎時「これ知ってる?」と好きなアニメの歌を歌ってくれ、「知ってるよ、○○でしょ」と返答したところ、とても喜んでくださったことがありました。
関係性を構築するためには、まずご利用者の気持ちを尊重することが大切だと改めて気付いた出来事でした。

まとめ ご利用者との関係性構築のポイントとは?

聖徳会の精鋭にインタビューしてみましたが、まとめるとこのような共通点が見えてきました。
・支援者である職員が主体ではなく、あくまでもご利用者を中心に考え支援する
・ご利用者の話しを引き出すために、好きなモノや興味のあるモノを知り、それを考慮て話しやすい環境を整える、話を傾聴する、話すまで待つ姿勢も必要
・言葉でのコミュニケーション(バーバルコミュニケーション)が難しいご利用者の場合は、表情や仕草を見逃さず、コミュニケーションの手段として受け止めている⇒ノンバーバルコミュニケーションを大切に!
・短期間での関係性は構築できないため、時間をかけて少しずつ関係性を構築していく
・職員がご利用者を見るように、ご利用者も支援者である職員をよく見ているため、職員自身が自分の表情にも意識する

いかがでしょうか。
障がいのあるご利用者と関係性を構築することは簡単ではありませんが、考え方を少し変えるだけでも良い方向になるかもしれません。
エピソードのように関係性を構築できたときは、職員にとって最も心が動かされる瞬間です。
「障がいのあるご利用者を支援する」そのようなやりがいがある仕事に興味を持っていただけると幸いです!